遊休地の活用を通じて企業の想いをカタチにする(CASE STUDY03)


2024.09.20

この記事はこんな方におすすめです!
・都市開発事業、まちづくりに興味のある方
・遊休地の活用にお困りの方
・新たな視点で既存事業の発展を図りたい方
・チームビルディングを成功させたい方
(所要時間5分)

KURUはもともと建築デザインの会社からはじまりましたが、近年、場の企画やブランディング、その後の運営までご相談いただける機会も増えてきました。

今回ご紹介するプロジェクトは、
ある企業が保有する遊休地の暫定的な活用に向け、KURUがプロジェクトチームに伴走し、都市開発に貢献するための新たな一歩を共に踏み出したお話です。

このプロジェクトのミッションは、
・保有する遊休地を再開発までの限られた期間で効果的に活用すること
・将来的な都市開発の基盤を築くこと

その上でKURUに課せられた使命は、
・プロジェクトチームに伴走し、将来を見据えたビジョンやミッションを明確にすること
・それに基づく戦略的な土地利用計画を策定すること でした。

KURUがどのようにチームビルディングを行ったのか。
チームの一員として、単なる土地の活用をするだけではなく、持続可能な都市開発に貢献するための指針をどう打ち立てたのか。

KURUが奮闘する姿をご覧ください。

漠然とした相談からはじまる

「具体的な案はないが、遊休地を活用することで地域社会へ貢献すると同時に、自社の都市開発事業を発展させたい」

2020年夏頃、ご相談くださったのは、「走り続ける、変わり続ける」をブランドコンセプトに掲げ、大阪を中心とした都市のライフラインとして、
私たちの生活になくてはならない存在である「大阪市高速電気軌道株式会社(以下、Osaka Metro)」。

今回対象となるのは、Osaka Metroが保有する大阪市内約2万平米の土地です。

大阪市内にあるOsaka Metroが保有する遊休地

この周辺地域には、5年後の2025年に大学が誘致されることが決まっており、大阪市の東の拠点として発展していくことが期待される地域でした。

ただ、当時、実際に周辺を歩いて感じたのは、小学校や団地があるものの、無機質で人が集まるイメージとはかけ離れた場所だということ。

Osaka Metroとしては、再開発までの限られた期間で効果的に活用するというミッションを果たすべく何かしなければという状況でした。

プロジェクトの目的を明確にし、ゴールまでの具体的なプロセスを提示する

プロジェクトを成功させるためには、共通のゴールを設定する必要があります。

そのためには、Osaka Metroが暫定活用を行う意義を明確にすることが必要でした。

そこで、KURUがまず行ったのは、暫定活用事例の調査です。
日本各地で暫定活用された土地のデータを集め、具体的な活用方法と、その取り組みによって得られた効果、今後の課題についても調査を行いました。

事例調査の結果を提示したことによって、Osaka Metroの想いも見えてきました。

①暫定活用ではあるが、再開発後の将来を見据え長く続くものにしたい。
➁Osaka Metroが関わるからこそできる活用を実現したい。
③地域の方々も巻き込み、エリアのポテンシャルを上げられるような取り組みにしたい。

事例調査、想いを言語化することによって明確になったのは、暫定活用終了後の将来を見据えた都市開発の基盤を築くこと
今回のプロジェクトにおける最大の目的であり、最終的なゴールであるということです。

今回のプロジェクトを遂行し、将来的な都市開発の基盤を築くという目的を果たした後に、
Osaka Metroが都市開発事業においてブランドを確立し発展していくイメージを提示しました。

KURUが考えるOsaka Metroのビジョンイメージ

その第一歩として提案したのは、暫定活用段階におけるビジョン、ミッションの策定、地域や事業パートナーとの関係づくりを行うことです。

さらに、チームとしてすべきこと、それにかかる時間などKURUがチームの一員として伴走させていただいた時のイメージもお伝えしました。

プロジェクトチームとしてすべきこと、それにかかる時間などプロセスイメージを提示

Osaka Metroの想いや、思い描く未来を踏まえたKURUの提案に賛同いただき、プロジェクトチームを結成。
まずは遊休地を暫定活用する上でのビジョン、ミッション、コンセプトの策定を目指し、段階的に計画を進めることが合意されました。

チームで共通認識を形成する

今回のように、既存事業において、何か新しいことをしたい、新しい視点を取り入れたいと考えた時、
チームとして共通の認識を持つことも非常に大切なことだと考えています。

そこで、最初の約3ヶ月で行ったのが暫定活用の取り組みをしている企業や、体験を提供している企業に対するヒアリングです。

ヒアリングを通じて、チーム全員が都市開発や土地活用の最新動向を学び、知識を共有することができました。

さらに、ヒアリングを行ったことで、プロジェクトを進める上でのヒントも得ることができました。

・地元の方々も気づいていない地域の魅力に光を当てること
・地元の方々だけでなく、今後の開発を見据え、対象となる学生や若者のニーズを汲み取ること
・Osaka Metroとして何をしたいのか軸を持つこと

KURUがチームの一員として何度も立ち返り大切にしているのが、クライアントの想いです。

クライアントの想いあってこそのプロジェクトだと考えているため、
Osaka Metroとして何をしたいのか明確にするために、ワークショップを実施し潜在的な想いや、思い描く未来の姿を議論し言語化することにしました。

(左)ワークショップの様子、付箋にキーワードを書き出し議論した
(右)5つの大切にしたいキーワード

大切にしたいキーワードも明確になり、徐々にビジョン、ミッション、コンセプトの策定に必要な材料が揃ってきました。

まちを知り、地元の方々を巻き込みプロセスに関わる人を増やすために行ったのが「まちあるき」です。
実際に遊休地の周辺を歩き、まちの調査をすると同時に、地域の方々へのインタビュー、地域団体へのヒアリングを実施しました。

この地域は若手が地域活動に参加できていないなどの課題を抱えていること、
再開発が話題になる中で地域の方々が置き去りにされている感覚があることなどの課題も見えてきました。

まちあるきを通じて地域の方々の声を聞き、見えてきた課題をどうプロジェクトに紐づけるかについても議論できたことは
チームにとって大きな収穫であったと思います。

ヒアリング、ワークショップ、まちあるきを行ったことでチーム内での議論が活発化し、共通の認識を形成することができました。

より明確な都市計画をするために

共通の理解を深めたことで、多角的な議論を行えるまでステップアップしたチーム。

KURUがチームビルディングを行う上で大切にしたことは、主体性を持って取り組んでいただくことです。
ビジョン、ミッション、コンセプトの策定においても、こちらから答えを用意し提示するのではなく、
自らの想いを言葉にしたり、チームで議論し納得する答えを出していただくことにはこだわりました。

策定されたビジョン、ミッション、コンセプトがこちらです。

策定されたビジョン、ミッション、コンセプト

言葉選びにもこだわり、時間をかけて完成したビジョン、ミッション、コンセプト。
さらに現実的なものにするため、イメージパースやゾーニング計画についてもKURUの設計チームを交え作成し提案書に組み入れました。

(左)イメージパース、(右)ゾーニング計画

これにより、将来的な都市開発の方向性がより明確なものとなりました。

妄想レベルではない事業収支を作成

将来的な都市開発の方向性が見えたら終わりではありません。

実際に暫定活用を行う際、協力していただく事業者の選定に向けヒアリングを行いました。

イベント企画運営会社や、交通インフラ企業、飲食事業を通じたまちづくりに力をいれている企業などに見積りを取り、
妄想レベルではない事業収支を作成することで、精度の高いご提案ができました。

作成した事業収支資料

プロジェクトを振り返って

具体的な土地活用や開発には至りませんでしたが、ビジョンやミッション、コンセプトの策定は、
Osaka Metroの都市開発事業の発展において重要なステップであったと認識しています。

そして、何よりも、このプロジェクトを通じて得られた知識や経験は、将来的な都市開発事業において貴重なリソースとなることでしょう。

KURUとしても、企画・運営を担う上で、チームに「伴走」することの大切さ、主体性を持って取り組めるよう働きかけることの大切さを学びました。

「遊休地の活用に困っている」
「具体的なアイディアはないが新たな視点で既存事業の発展を図りたい」
「チームづくりに悩んでいるから相談したい」

など、ちょっとしたお悩み相談でも差し支えありません。
是非一度私たちとお話してみませんか?


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