ワークショップの、その手前。一脚のスツールができるまで。


2026.10.29

現在開催しているTOONによる個展「decoration」。最終日には、陶音さんが一つひとつ愛情を込めて制作したタイルを貼り、自分だけのスツールを仕上げるワークショップを開催します。今回は、スツールがカタチになるまでの裏側と、制作にご協力いただいた大阪・玉川にあるモノづくり×ことづくりコミュニティ「MAKE.」をご紹介します。

2026年10月17日(土)からはじまったTOONによる個展『decoration』。
連日、さまざまな場所からお客様にお越しいただき、陶音さんの作品をきっかけに会話が広がっていく楽しさを感じる日々です。

最終日には、陶音さんが一つひとつ愛情を込めて制作したタイルを貼り、自分だけのスツールを仕上げるワークショップを開催します。 

皆さんにタイルを貼っていただくことで完成する一脚のスツール。
ですが、スツールが完成するまでには、たくさんの人や場所が関わっています。今回は、ワークショップの、その手前のお話です。

スツールがカタチになるまでの裏側と、制作にご協力いただいた大阪・玉川にあるモノづくり×ことづくりコミュニティ「MAKE.」をご紹介します。

KURUTOだからこそできるワークショップとは

今回の展示にあわせてワークショップを企画するにあたり、陶音のおふたりからいただいたのは、「KURUTOだからこそできる、特別な体験を」というリクエストでした。

設計事務所が運営するKURUTOだからこそできることは何だろう。そんな問いから生まれたのが、「タイルを貼って完成させるスツールづくり」です。

まずは、設計メンバーがアイデアを出し合い、タイルの魅力が引き立つ7種類のスツールをデザインしました。座面の大きさや脚のバランス、安定性などを何度も検討しながら、一つひとつ形にしていきます。

どんなカタチのスツールができあがったのか。当日を楽しみにお待ちくださいね。

では、そのアイディアをどうやったらカタチにできるのか。
ちょうどその頃、KURUTOのイベントをきっかけに出会ったのが、商う株式会社の皆さんでした。

「CNCレーザー加工機という技術をもっと多くの方に知ってもらいたい。」
そんなお話をうかがい、「ぜひ一緒にこのスツールをつくりたい」とお願いしたことから、スツールづくりが本格的にはじまりました。

加工を担ってくださるのは、大阪・玉川にあるモノづくり×ことづくりコミュニティ「MAKE.」。商う株式会社が運営する「途ビル」内にある工房です。

ものづくりが集まる「途ビル」

まずご紹介したいのが、大阪・玉川にある「途(TO)ビル」です。
「食べる・呑む・知る・暮らす・創る」など、さまざまな営みが交わる場所として、2026年4月にオープンした複合施設です。

途ビル外観。

一つのビルの中には、カフェバーやオフィス、イベントスペース、工房などが入り、未来をつくる実験の場として、まちにひらかれています。

何度かカフェを利用させていただいているのですが、スタッフの方が打ち合わせをしていたり、お客様がゆっくりとお茶を楽しみながら過ごされていたりと、さまざまな人が思い思いの時間を過ごしている姿が印象的でした。

また、ワークショップをはじめとしたイベントも多く開催されており、つくる人と使う人、地域の人と訪れる人が自然に交わる場になっています。

「完成したもの」だけではなく、そこに至るまでの途中の過程や試行錯誤も含めて楽しむこと。
ものづくりを“完成品”として見るのではなく、制作の途中や試行錯誤までひらかれていることが、この場所の大きな魅力です。

途ビル店内。カフェメニューも豊富で何度も足を運びたくなる場所。

途ビルを運営する「商う株式会社」

途ビルを運営しているのが、「商う株式会社」です。
代表の谷口さんが、店舗デザインや施工の仕事を通して培った経験をもとに、2019年に設立された会社です。 

「つくること」を軸に、人や地域をつなぐさまざまな取り組みをされています。

代表の谷口さん。私たちの挑戦を後押ししてくださった心強い存在。

私たちが谷口さんをはじめとする商うの皆さんと出会って感じたのは、その温かな人柄です。
ものづくりの話になると、皆さんが自然と輪になり、「こんな方法もあるかもしれない」「こうするともっと良くなりそう」と、一緒に考えてくださいます。

実は現在、KURUで進めているプロダクトづくりについても相談させていただく機会がありました。その際も、社員の皆さんが真剣に耳を傾け、多くのアイデアやアドバイスをくださいました。

また、KURUTOで開催するイベントにも足を運んでくださるなど、日頃からさまざまな形で交流させていただいています。

商う株式会社は、空間をつくるだけではなく、その場所で人が出会い、新しい挑戦が生まれる環境づくりを大切にされています。
その考え方には、KURU、KURUTOとしても共感する部分が多く、今回の取り組みを通して、たくさんの刺激をいただきました。

「MAKE.」という、モノづくり×ことづくりコミュニティ

そして、商う株式会社が運営する「途ビル」の中にあるのが、モノづくり×ことづくりコミュニティ「MAKE.」です。
CNCレーザー加工機を備えた工房で、プロ・アマチュアを問わず、ものづくりに挑戦したい人たちが集う場所となっています。

CNCとは、Computer Numerical Control(コンピューター数値制御)の略で、コンピューターで作成した図面をもとに、木材を高い精度で切削・加工することができる機械です。

CNCレーザー加工機。

人の手だけでは難しい曲線や、ぴったりと組み合わさる細かな加工も、図面どおりに正確に再現できます。

インテリア雑貨のような小さなものから、店舗のカウンターや家具、オーダーキッチン、イベントブースなどのある程度の大きさのあるものまで、幅広いものづくりに活用されているそうです。

建築業界や家具・店舗づくりに携わる方はもちろん、「自分で何かをつくってみたい」、「アイデアを形にしてみたい」と考えている方にもとても心強い場所だと感じました。 
興味のある方は、ぜひMAKE.を訪れてみてください。また、ものづくりの仲間と出会える「大阪CNC倶楽部」もおすすめです。

作成した図面が、一脚のスツールになるまで

今回のスツールも、このCNCレーザー加工機をお借りして制作しました。KURUで設計した図面データをもとに、合板を搬入し、一枚ずつ丁寧に加工していただきます。

加工をお手伝いいただいた福本さん。制作したデータも、細かなところまで丁寧に確認してくださいました。 

実は、加工前にはサンプルも制作していただいたのですが、私たちが作成した図面に不備があり、「組み立てられない!」というハプニングも…(笑)

CNCレーザー加工に適した図面の作り方まで丁寧に教えていただき、データを修正し、試行錯誤を重ねながら、先日ようやくスツールのパーツが完成しました。

自分たちで描いた図面が、一つひとつのパーツとして切り出され、実際に形になっていく様子を見ることができ、とても嬉しかったです。

あとは皆さんの手でタイルを貼っていただき、一脚のスツールが完成します。
それぞれのタイルの表情や組み合わせによって、どんな一脚が生まれるのか。今からとても楽しみにしています。

ものづくりをつなぐワークショップ

KURUが設計し、MAKEで加工し、陶音さんのタイルで参加者の皆さんが仕上げるスツール。

ひとつのモノが生まれるまでには、設計する人、加工する人、つくる人など、さまざまな人の手が重なっています。皆さんの暮らしの中にある家具や道具も、きっとそうして生まれてきたものです。

今回のワークショップでは、MAKE.のご協力によって完成したスツールのパーツにやすりをかけ、組み合わせるところからスタートしていただきます。そこに、陶音さんが一つひとつ丁寧に制作したタイルを貼り、自分だけのスツールを完成させてください。

ワークショップに参加してくださる皆さんも、そのものづくりをつなぐ大切な登場人物の一人です。完成した一脚を持ち帰るだけでなく、その背景にある「誰が、どこで、どうやってつくっているのか」にも思いを巡らせていただけたら嬉しいです。

今回のワークショップは、たくさんの人の知恵や手が重なって生まれました。

MAKE.、商う株式会社の皆さま、このたびはスツール制作に多大なるご協力をいただき、心よりありがとうございました。

途ビルさんのご案内
〒553-0004
大阪府大阪市福島区玉川4丁目11-21
OPEN:11:30~18:00 ※金・土は22:00まで営業
月曜定休
HP:https://www.to-tamagawa.jp/index.html
Instagram:@to_tamagawa

TOON「decoration」

装飾は
きらびやかに飾り立てたり
色とりどりにするだけじゃない。
落ちついた中に、
微かな高鳴りやときめきを感じるもの。
規則的であっても不規則であっても、
そこに配慮や意思を感じられるもの。
その場所のためだけに施される
とても特別なもの。

タイルは
建材として空間に寄り添いつつ
装飾としても自由に彩りや奥行きを
与えることができる。
静でもあり動にもなりえる
タイルの力。
既存のタイルの概念を超えて、
もっともっと自由でありたい。 
装飾という、贅沢で自由で豊かな行為を
存分に体感してもらいたい。

今回のKURUTOでの展示では、
そんな私たちのタイルの片鱗を
垣間見ていただけるものとなっています。 
ぜひ近くで見て、実際に手で触れてみてください。
そして遠くから見て、空間とともにあるタイルを
感じてみてください。
建材とは?装飾とは?アートとは?住まいとは?
いろんな可能性を想像していただけたら、
とても嬉しいです。 

TOON

陶音プロフィール

TOON / 陶 音

2005年 陶芸教室陶音/toon(トーオン)として誕生。
2014年 山田由起子と菊地幸未によって制作部門がスタートする。
2016年 ワークショップの依頼が増えるようになり、その日に持ち帰ってもらえる陶器のワークショップを模索していたところ、タイルに行き着く。
手製でしか生まれない形や色の組み合わせに魅了され、次第にアート作品や建材としてのタイルの可能性を追求しはじめる。
2018年 器の初個展。同年、建物へのタイル施工をはじめる。
その後、個展を毎年開催。
2025年 タイルアートのみの個展をiTohenで開催。

■タイル施工事例 / 建物
2018年 大阪市内美容室[atomic]エントランス、大阪市中津[キタの北ナガヤshiten]エントランス
2020年 個人宅エントランス、大阪市天王寺[スタンダードブックストア]キッチン、オーダータイル鏡各種
2021年 個人宅洗面数箇所、西宮市雑貨喫茶店[ありまま]洗面、大阪府能勢町[TO GO BOOKS Nomadik] 洗面
    大阪市中津[みそ汁食堂みそら]店内客席壁面、オーダータイル鏡各種
2022年 箕面市飲食店[curry punk]カウンター、大阪市大正区[cafeコメイチ]外装タイル
2023年 個人宅多数(キッチン、洗面)
2024年 大阪市[デザイン会社 美濃企画]エントランス洗面、個人宅多数(キッチン、玄関、洗面、アート、家具)
2025年 明石モデルハウス[大塚工務店]暖炉背面、洗面 

■受賞歴
2026年 KAIKA TOKYO AWARD2026 入選

詳細

日時:2026年10月17日(土)~31日(土)13:00~19:00  
場所:会場:KURUTO(  )
住所:大阪府大阪市西区南堀江4-25-D-103
   Osaka Metroドーム前千代崎駅より徒歩7分
   大阪環状線 大正駅より徒歩12分
協賛:かなで創新開発株式会社、LAUGH Co., Ltd.
協力会社:MAKE.



※10月25日(日)はお休みです。
※陶音さんの在廊日は、10月17日(土)、18日(日)、31日(土)を予定しています。

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