9月1日(火)から3日(木)までの3日間、KURUTO( )にて、木製建材を扱う株式会社東京工営さんのショールームを開催します。
今回並ぶのは、合板を仕上げ材として見せる「モクノバ」シリーズを中心とした木の素材たち。床だけでなく、壁や天井、家具、建具へと広がる、木の新しい使い方をご覧いただけます。
開催に先立ち、東京工営さんにお話をうかがいました。
インタビューを通して見えてきたのは、素材への深い知識だけではありませんでした。
「こんな木を探しているんだけど、ありませんか?」
そんな設計士のひと言を受け止め、カタログの外側まで一緒に探してくれること。難しい要望にも面白がって向き合い、ときには「それはやめましょう」と率直に伝えてくれること。
東京工営さんは、木を届ける会社であると同時に、設計士と同じ目線でものづくりを考えてくれる会社なのだと思います。
――まず、東京工営さんがどのような会社なのか教えてください。
海外の木製建材を扱う輸入商社です。
もともとはドアやログハウスなどの輸入から始まり、20年ほど前にヨーロッパからパインのフローリングを輸入したことをきっかけに、無垢フローリングや複合フローリング、デッキ材などへと扱うものを広げてきました。
現在は、海外にある商品を仕入れるだけではなく、私たちから企画を提案して、現地のメーカーにオリジナルの商品をつくってもらうことも多いです。
今回展示するシリーズも、海外の工場と何度もやりとりを重ねながら、少しずつ形にしてきました。
――東京工営らしさは、どんなところにあると思いますか。
私たちが大切にしているのは、木の良さだけでなく、怖さもきちんと伝えることです。
天然木は、一枚一枚、木目も色も違います。同じものが二つとないところが、やっぱり一番の魅力だと思います。その一方で、工業製品とは違い、温度や湿度、施工方法、使い方によって伸び縮みしたり、反ったりする可能性もあります。だから、ただ「この商品がおすすめです」とお伝えするのではなく、どんな場所で使うのか、床暖房はあるのか、施工後はどんなお手入れが必要なのかまで、できるだけ丁寧にお話しするようにしています。
――設計士の要望に対しても、難しいものは難しいと伝えるのでしょうか。
そうですね。できる限り応えたいとは思っていますが、何でも「できます」と言うことが、設計士さんに寄り添うことではないと思っています。
例えば、無垢の床材を床暖房の上に使って、さらに壁際まで隙間なく納めたいと言われたら、「それはやめましょう」とお伝えすることもあります。完成した直後はきれいでも、その後に不具合が起きてしまったら、設計士さんもお施主さんも困ってしまいますから。ただ断るのではなく、できるだけイメージを崩さずに実現できる方法を、一緒に考えるようにしています。
――以前、東京工営さんの営業は「料理人のようなもの」だとお話しされていましたね。
オークやウォールナット、バーチといった素材自体は、ほかの会社でも扱っています。でも、その素材をどこから仕入れて、どんな寸法や構造にして、意匠と機能、コストをどう整えるかによって、できあがるものは変わります。料理に例えると、素材を選ぶ目も必要ですし、その素材をどう生かすのかも大切です。
どんな味付けをするのか。どんな隠し味を加えるのか。設計士さんと話しながら、物件ごとにちょうどいい一皿をつくっていくような感覚があります。
――設計士からの難しい相談にも、かなり細かく対応されていますよね。
私たちは、設計士さんの「いい意味でのわがまま」を、どう翻訳して形にするかというところに、一番やりがいを感じています。ある改修案件では、既存の柱を残したまま、その柱の位置に合わせてヘリンボーンを納めたいという相談がありました。最初は「難しいですよ」とお話ししたのですが、床材の幅や長さを一から調整して、オリジナルのサイズでつくりました。
別の案件では、「床に方向性を持たせたくない」という設計士さんの希望から、バーチの合板を六角形に加工しました。壁際から六角形がどのように見えるかまで考えて、コンマ数ミリ単位で寸法を調整し、国内の加工会社さんと一緒につくりました。大工さんからは「こんなのやってられるか」と怒られましたけど(笑)。 でも、みんなで苦労した分、きれいに納まったときはやっぱり嬉しかったですね。



――難しい要望を、楽しそうに話されるのが印象的です。
もちろん大変なこともありますが、カタログにあるものをそのまま納めるだけではなく、その空間のためだけのものを一緒につくれるのは楽しいです。設計士さんの頭の中にあるものを聞いて、どうすれば現実にできるのかを考える。そこが私たちの仕事だと思っています。
――カタログに載っていないものでも相談できますか。
よくご相談いただきます。むしろ、カタログを全部見て商品を決めてからではなく、設計の初めの段階で「こんな木を探している」と声をかけてもらえるのが理想です。木の種類やサイズ、床暖房の有無、数量、納期、予算などを教えていただければ、国内外の選択肢から近いものを探し、サンプルをご提案できます。既製品の選択肢からではなく、ご物件専用の製品を受注生産対応させていただく事にして、予算に合わせて厚みを少し変えることもありますし、反対に、表面の無垢材を厚くしたり、通常より幅を広くしたりすることもあります。
「カタログの中から選んでください」ではなく、つくりたい空間から一緒に考えていきたいんです。
――設計士にとっては、木のコンシェルジュのような存在ですね。
そうなれたら嬉しいですね。「この人に聞いたら、何かいいものを探してくれるかもしれない」と思ってもらえるような関係が理想です。メールや電話で、「こんな感じの木を探しているんだけど」と気軽に相談してもらえる。そんなふうに、設計士さんと近い距離で関わっていきたいと思っています。
――今回、KURUTOでショールームを開いていただくことになったきっかけを教えてください。
今回展示する合板のフローリングや仕上げ材を、KURUの設計士の方に実際のプロジェクトで使っていただいたことがきっかけです。素材そのものだけでなく、空間の中でどのように見せるかまで理解してくださっていたので、展示をつくるなら、ぜひ一緒にお願いしたいと思いました。
東京で展示を行ったあと、次は関西の設計士さんにも見ていただける場所をつくりたいと考えていたときに、KURUTO( )という場所があることを知りました。
KURUさんが日々設計の仕事を行いながら、その隣で、ものや人との出会いをひらく場所を運営していること。その場所であれば、素材をただ並べるだけではなく、実際の空間として提案できるのではないかと思ったんです。
これまで一緒に仕事をするなかで生まれた信頼関係や、いくつもの巡り合わせが重なり、今回のショールームにつながりました。
――KURUTOで展示するからこそ、できそうなことはありますか。
一般的なショールームのように、商品サンプルを一つずつ見るだけではなく、素材を使った空間そのものを体験していただけると思っています。KURUのみなさんには、実際に設計で素材を使っていただいた経験があります。私たちとはまた違う、設計士の目線から、素材の見せ方や使い方を考えてもらえることも楽しみです。
私たちだけで完成させた展示ではなく、KURUさんと一緒につくることで、これまで想像していなかったモクノバシリーズの見え方が生まれるのではないかと思っています。
――今回展示する「モクノバシリーズ」について教えてください。
モクノバシリーズは、これまで下地として隠されることが多かった合板を、仕上げ材として見せて使えるように企画したシリーズです。床だけでなく、壁や天井、家具、建具にも使うことができます。「モクノバ」という名前には、木の新しい使い方という意味と、木で新しい「場」をつくるという意味が込められています。大きな一枚の合板を見せることで、一般的なフローリングとはまた違う、のびやかでダイナミックな空間をつくることができます。
――ショールームでは、どんなふうに見てもらいたいですか。
サンプルとして眺めるだけではなく、実際にその空間に入って、座ったり、触れたりしてもらいたいです。床に使ったときだけでなく、壁や天井まで素材が広がったら、どんな空間になるのか。そこに家具や建具が加わると、どんな時間が生まれるのか。実際の目線に立って、暮らしや過ごし方まで想像してもらえたら嬉しいです。
お話を伺うなかで、東京工営さんが何度も口にされていたのが、「一緒に考える」ということでした。
素材を売って終わるのではなく、設計士が何をつくろうとしているのかに耳を傾ける。難しい要望にもすぐに線を引かず、まずは方法を探してみる。反対に、将来の不具合につながりそうなときには、きちんと立ち止まって伝える。
そんなふうに、同じものづくりの仲間として肩を並べてくれることが、東京工営さんの一番の魅力なのだと思います。
「こんな木、ありませんか?」
まだ具体的な商品名が決まっていなくても、ぼんやりとしたイメージしかなくても、そのひと言から相談してみる。
今回のショールームが、木の新しい表情に触れるだけでなく、東京工営のみなさんと一緒に空間を考えはじめるきっかけになれば嬉しく思います。
詳細
日時:2026年9月1日(火)~3日(木)10:00~19:00
場所:会場:KURUTO( )
住所:大阪府大阪市西区南堀江4-25-D-103
Osaka Metroドーム前千代崎駅より徒歩7分
大阪環状線 大正駅より徒歩12分