大阪の北摂地方の閑静な住宅地での計画です。
敷地は、北と西に道路が通る角地であり、南側は公園が食い込んだような二股に分かれた敷地形状で、外部に面する辺の多い敷地です。

この敷地に対してプライバシーを確保することと、
夫婦と子供2人の4人家族で、それぞれの部屋を確保しつつ、子供たちは部屋に籠りきりにならず、できる限りリビングで勉強や遊びなど日常の時間を過ごせるような家を希望されました。
また、奥様からは外部から覗かれないような防犯性と家事のしやすい機能性を、旦那様からは趣味である音楽制作をするための音楽室を、希望されました。

これらを受けて、外部空間では建物ボリュームの分割と軒下の空間をつくることで住宅街の閑静な雰囲気と公園の開けた様子をとりもつよう計画しました。
内部空間では、視線を遮りたいところに開口部の少ない水回りスペースをゾーニングすることで視線の問題を解決し、リビングアクセスのプランにすることでリビングを介してお互いの気配を感じられる、程よくプライバシーを守る空間づくりを目指しました。

外観形状について、北面の軒下には植栽を植えて緑を取り入れています。
北西面は玄関の軒下空間として北側、西側両方向からのアクセスにも対応できる使い勝手のいい空間にしています。

内部空間は北西角を玄関とし、水回りのある北側と、リビングのある南側の構成にしています。
北側の空間は家事動線の良いプランにしています。また、南側の空間と道路のバッファの役割を担っています。
南側の空間はリビングアクセスとすることで、リビングと各室は、吹抜けを介して空間的なつながりを持たせています。
また、音楽室や子供室の扉には一部にガラスやガラリを設けています。そのため部屋にいるときは明かりが漏れて気配が分かったり、2Fから1Fの様子を伺えたり、程よい距離感で過ごせる空間にしています。

リビングの南側はデッキのある庭に続いており、1F,2Fともに大きな開口を設けています。これによりリビングは、空を見上げられる開放的な空間になり、晴れた日にはデッキと一体の一家団欒の空間になるようにしています。
庭には塀と植栽を設置し、低い箇所の視線は塀で完全に遮り、それ以上の高さの視線は植栽でスポット的に遮るように計画しています。
これにより、庭部分でも開放性とプライバシーの確保の両立を実現しています。